業務・通勤災害

カテゴリ: 人事

Q.通勤途中にマンションの階段で転んで怪我をした場合、通勤災害に該当しますか?

A.マンションの共用部分が住居用か、住居と就業場所との経路上にあるのかがポイントです

 

この点について行政解釈では、部屋の外戸が住居と通勤経路との境界であるので、マンションの階段は通勤上の経路として認められるとされています。
したがって、ご質問のケースは、就業のため会社に向かっていたこと、合理的な経路・方法であること、通勤起因性を否定する事由がないことといった他の要件を満たす限り、通勤災害として認められることになります。

なお、一戸建ての屋敷構えの住居の玄関先については、行政解釈で「住居内であって、住居と就業の場所との間とはいえない」とされています。
したがって、門を出たところから通勤上の経路として認められる形になります。

 

通勤災害とされるポイント6つ

1「就業に関し」とは

通勤とされるためには、労働者の住居と就業の場所との間の往復行為が業務と密接な関連をもって行われることが必要です。
したがって、被災当日に就業することとなっていたこと、又は現実に就業していたことが必要です。
この場合、遅刻やラッシュを避けるための早出など、通常の出勤時刻と時間的にある程度の前後があっても就業との関連は認められます。

 

2「住居」とは

労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところをいいます。
したがって、就業の必要上、労働者が家族の住む場所とは別に就業の場所の近くにアパートを借り、そこから通勤している場合には、そこが住居となります。
また、通常は家族のいる所から通勤しており、天災や交通ストライキ等の事情のため、やむを得ず会社近くのホテル等に泊まる場合などは、当該ホテルが住居となります。

 

3「就業の場所」とは

業務を開始し、又は終了する場所をいいます。
一般的には、会社や工場等の本来の業務を行う場所をいいますが、外勤業務に従事する労働者で、特定区域を担当し、区域内にある数か所の用務先を受け持って自宅との間を往復している場合には、自宅を出てから最初の用務先が業務開始の場所となり、最後の用務先が業務終了の場所となります。

 

4「合理的な経路及び方法」とは

住居と就業の場所との間を往復する場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び方法をいいます。
合理的な経路については、通勤のために通常利用する経路であれば、複数あったとしてもそれらの経路はいずれも合理的な経路となります。
また、当日の交通事情により迂回してとる経路、マイカー通勤者が貸切りの車庫を経由して通る経路など、通勤のためにやむを得ずとる経路も合理的な経路となります。
しかし、特段の合理的な理由もなく、著しく遠回りとなる経路をとる場合などは、合理的な経路とはなりません。
次に、合理的な方法については、鉄道、バス等の公共交通機関を利用する場合、自動車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合等、通常用いられる交通方法を平常用いているかどうかにかかわらず、一般に合理的な方法となります。

 

5「業務の性質を有するもの」とは

以上説明した1から4までの要件をみたす往復行為であっても、その行為が業務の性質を有するものである場合には、通勤となりません。
具体的には、事業主の提供する専用交通機関を利用する出退勤や緊急用務のため休日に呼出しを受けて緊急出勤する場合などが該当し、これらの行為による災害は業務災害となります。

 

6「往復の経路を逸脱し、又は中断した場合」とは

逸脱とは、通勤の途中で就業や通勤と関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、中断とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うことをいいます。
しかし、通勤の途中で経路近くの公衆便所を使用する場合や経路上の店でタバコやジュースを購入する場合などのささいな行為を行う場合には、逸脱、中断とはなりません。
通勤の途中で逸脱又は中断があるとその後は原則として通勤とはなりませんが、これについては法律で例外が設けられており、日常生活上必要な行為であって、労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。

 

通勤災害の判例として、

1)保育園に子供を預けて会社に向かう途中で怪我をした場合、通勤災害になります。

 

通勤災害と認められるためには、合理的な経路及び方法による住居と就業場所との往復であることが必要になりますが、ここでいう合理的な経路及び方法とは、「一般に労働者が用いると認められるもの」とされています。

 

2)単身赴任者である男性が就業場所と単身赴任先の住居と自宅間の移動中に起きた川への転落による死亡事故が通勤災害と該当するか否かが争点となった事案です。


この事件の控訴審判決で、名古屋高裁は 、「(単身赴任者の)週末帰宅型の通勤」として、請求を認めた一審判決を支持して、労基署側の控訴を棄却しました。
この判決で、通勤とは「住居と就業の場所の間を合理的な経路と方法で往復すること」などと指摘し、男性が都合の良い列車がないため、自家用車で約3時間半かけて日曜日に移動したことは「健康と安全のためにやむを得ない」と判断されています。

 

通勤は、働く人が行う日常生活です。起こってしまった場合、どの様な考え方で対処すればよいのか考えておくことが大切です。

 

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