名古屋市天白区の税理士が解説:事前確定届出賞与の基本と注意点
💰 名古屋市天白区の税理士が解説:事前確定届出賞与の基本と注意点
役員に支給する賞与(ボーナス)は、原則として会社の経費(損金)にはできません。
しかし、「事前確定届出賞与」としてあらかじめ支給金額・支給時期・支給対象者を税務署に届け出ておけば、損金算入が認められます。
この届出は、事業年度開始の日から4か月以内または株主総会の日から1か月以内のいずれか早い日までに提出する必要があります。
届出後の変更は原則できない
この制度のポイントは、「事前に確定している」ことです。一度届出を提出した後は、支給金額を変更したり、支給日をずらしたり、支給自体を取りやめたりすることは原則できません。
⚠️ 厳重注意
もし変更を行った場合、その賞与は全額が損金不算入(経費として認められない)扱いとなります。届出通りに支給できないと税務上の扱いが厳しくなるため注意が必要です。
やむを得ない場合のみ変更届が認められる
ただし、会社の意思ではどうにもならない「やむを得ない事由」がある場合には、例外的に変更が認められます。その際は「事前確定届出給与に係る変更届出書」を提出します。
変更が認められる代表的なケース
- 火災・地震・感染症など、災害や事故で支給が困難になった場合
- 主要取引先の倒産や資金繰りの悪化など、経営に重大な影響が生じた場合
- 役員の死亡・退任・病気など、支給対象者がいなくなった場合
※客観的に見て「会社の責任ではない」と判断される事情が必要です。
変更届の手続き
変更届の提出先は所轄の税務署です。提出期限は、「やむを得ない理由が生じた日から1か月以内」とされています。
提出の際は、変更理由を説明する書類のほか、災害証明書・医師の診断書・倒産通知などの**証明書類**を添付する必要があります。
認められないケースに注意
一方で、次のような理由は「やむを得ない事由」とは認められません。
- 思ったより業績が悪化した
- 他の役員とのバランスを取るため変更したい
- 資金繰りが厳しくなったので支給を延期したい
これらは経営判断の範囲内とされ、変更届を出しても原則として損金算入は認められません。
まとめ
事前確定届出賞与は、届出を出せば経費にできる便利な制度ですが、その反面、届出内容の変更は原則不可能です。
災害や重大な経営危機など「やむを得ない事由」がある場合を除き、変更や取消しを行うと税務上の不利益を受けます。届出の時点で金額・支給日を慎重に決定することが重要です。
名古屋市天白区の森本会計事務所では、事前確定届出賞与の作成から提出、変更届の対応まで丁寧にサポートしています。
制度の活用やリスク回避の方法についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。








