事前確定届出給与の厳格な税務上の取り扱い

事前確定届出給与の厳格な税務上の取り扱い
1.1. ― 届け出た給与の「減額」「取りやめ」「支給漏れ」が招く重大リスク ―
役員給与の設計において、事前確定届出給与は役員賞与等を損金算入するための重要な制度です。しかし、この制度は“いつ・いくら支給するか”をあらかじめ届け出た内容どおりに実行することを前提としており、その要件は極めて厳格に定められています。
本記事では、事前確定届出給与の運用における「減額」や「支給遅延」「支給漏れ」などの変更・ミスが招く深刻な税務リスクについて解説します。
1.2. 制度の目的と厳格性の背景
事前確定届出給与とは、役員給与の恣意的な操作を防ぐために設けられた制度で、損金算入の適正化を図ることを目的としています。利益調整を防ぐため、支給内容に関する要件は非常に厳格です。
- ● 事前に支給時期と金額を税務署へ届け出ていること
- ● 届け出た支給時期に正しく支給すること
- ● 届け出た金額をそのまま支給すること
1.3. わずかな変更・ミスでも「損金不算入」の可能性
事前確定届出給与の運用において特に注意すべきは、たとえ軽微な変更や事務的ミスでも税務的には欠落とみなされる点です。
減額や取りやめ
「業績が悪化したから減らす」「今年は支給しない」といった判断は、すべて制度の要件違反となります。
「業績が悪化したから減らす」「今年は支給しない」といった判断は、すべて制度の要件違反となります。
支給時期の遅延
資金繰りの都合や事務処理の遅れで1日でも支給日が遅れた場合、制度の適用が否認される可能性があります。
資金繰りの都合や事務処理の遅れで1日でも支給日が遅れた場合、制度の適用が否認される可能性があります。
支給漏れ(払い忘れ)
単純なミスでも「届け出どおりでない」と判断されます。その結果、その期間の役員給与全体が損金不算入となり、重い追徴課税が生じるリスクがあります。
単純なミスでも「届け出どおりでない」と判断されます。その結果、その期間の役員給与全体が損金不算入となり、重い追徴課税が生じるリスクがあります。
1.4. 例外的に変更が認められるケース
原則として変更は認められませんが、以下のような客観的かつ不可避な事由がある場合には例外的に認められることがあります。
- 役員の退任・降格・昇格など、地位の恒久的な変更があった場合
- 緊急かつ重大な経営危機(経営が著しく悪化し維持が困難)
※ ただし、所定の期日までに再届出が必要であり、認められるハードルは非常に高いのが実情です。
1.5. まとめ:安全な制度利用のために
安全に運用するためには、次の2点を徹底することが重要です。
① 確実に支給できる額を設定
業績変動を考慮し、無理のない金額を設定しましょう。② 厳格な支給日管理
事務的ミスを防ぐため、社内で二重チェック体制を構築してください。役員報酬制度は企業の税務に大きな影響を及ぼします。
制度の利用や変更に際しては、必ず税理士などの専門家へご相談ください。










