青色申告特別控除が最大75万円へ!個人事業主・不動産オーナーが今からすべきデジタル化対応
1. 青色申告特別控除が見直されます
個人事業主や不動産所得のある方にとって、青色申告特別控除は、所得税の負担を抑えるうえで重要な制度です。
これまで青色申告特別控除は、記帳方法や申告方法によって、65万円、55万円、10万円といった控除額に分かれていました。
今回の税制改正では、この青色申告特別控除の仕組みが見直され、一定の要件を満たす場合には、控除額が最大75万円になる方向です。
ポイントは、「複式簿記でしっかり記帳しているか」だけでなく、「電子申告や電子帳簿、データ連携に対応しているか」が、これまで以上に重視されるという点です。
2. 最大75万円控除を受けるための要件
改正後、最大75万円の控除を受けるためには、単に青色申告をしているだけでは足りません。
基本的には、複式簿記による記帳を行い、電子申告(e-Tax)をすることが前提になります。そのうえで、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
または
- 優良な電子帳簿を備え付けて保存していること
- 請求書データ等との自動連携など、一定のデジタル化に対応していること
つまり、会計ソフトを使っているだけでなく、訂正・削除履歴が残るような電子帳簿の保存や、請求書・取引データとの連携など、より高い水準の記帳管理が求められることになります。
3. いつから適用されるのか
この見直しは、令和9年分以後の所得税について適用される予定です。
個人事業主の場合、令和9年1月1日から令和9年12月31日までの所得分から影響することになります。そのため、実際の確定申告でいうと、原則として令和10年2月から3月に行う確定申告から関係してくることになります。
⚠️ 勘違いに注意
注意したいのは、令和8年分の確定申告(令和9年2月〜3月申告分)からではないという点です。とはいえ、電子化への対応には準備が必要です。適用開始までまだ時間があるように見えても、早めに現在の記帳・申告方法を確認しておくことが大切です。
4. 改正後の控除額パターン(65万円・10万円控除への影響)
今回の改正に伴い、現行の控除枠(55万円枠など)が整理され、デジタル化への対応度合いによって控除額に大きな差が開くことになります。
| 記帳方法 | 提出方法・デジタル対応 | 改正後の控除額 |
|---|---|---|
| 複式簿記 | 電子申告 + 優良電子帳簿 or データ連携 | 最大 75万円 |
| 電子申告のみ(デジタル要件なし) | 65万円 | |
| 複式簿記 | 書面(紙)で申告 | 10万円 (大幅減額) |
| 簡易簿記 | 申告方法問わず(※前々年収入1,000万円以下限定) | 10万円 |
複式簿記と電子申告なら65万円控除
75万円控除の要件までは満たさない場合でも、複式簿記で記帳し、電子申告を行う場合には、65万円控除の対象となる見込みです。現行制度の「55万円枠」が整理され、電子申告を行う場合に65万円控除へ引き上げられる仕組みになります。
⚠️ 書面申告のままだと10万円控除に激減
今回の見直しで特に注意したいのが、書面申告を続けている方です。改正後は、複式簿記で記帳していても、電子申告をしていない場合には控除額が10万円となる方向です。
現行制度で55万円控除を受けていた方は、電子申告に対応しなければ控除額が45万円も下がることになります。所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料などにも影響するため、早めの移行が必須です。
簡易簿記の10万円控除も対象が限定される方向
簡易簿記による10万円控除についても、事業所得や不動産所得に係る前々年の収入が1,000万円超の方は、10万円控除の対象から除外される見込みです。収入状況によっては、複式簿記への移行を本格的に考える必要があります。
7. 今から準備しておきたい3つのこと
今回の改正は、単なる控除額の引き上げではありません。デジタル化に対応している方ほど優遇され、紙中心の申告を続ける方は控除額が下がる仕組みです。以下の3つの準備を進めましょう。
- 電子申告(e-Tax)に対応すること
e-Taxを利用できる環境を整え、確定申告を電子申告で行えるようにしておきましょう。 - 会計ソフトの利用状況を確認すること
現在使っている会計ソフトが、電子帳簿保存や請求書データ等との連携にどこまで対応しているかを確認しておく必要があります。 - 日々の記帳方法を見直すこと
領収書や請求書を紙で保管しているだけではなく、データとして管理し、会計処理と連携できる体制を整えていくことが重要です。
8. 個人事業主や不動産オーナーは早めの確認を
今回の見直しは、個人事業主、フリーランス、不動産オーナーの方に関係する内容です。特に、これまで書面で確定申告をしていた方や、簡易簿記で青色申告をしていた方は、控除額に大きな影響が出る可能性があります。
「自分は75万円控除の対象になるのか」「65万円控除を受けるには何が必要なのか」「今の会計ソフトや記帳方法で大丈夫なのか」
このような点は、早めに確認しておくことをおすすめします。
9. まとめ
青色申告特別控除は、今後、最大75万円へ拡充される一方で、電子申告や電子帳簿への対応がより重要になります。適用は令和9年分以後ですが、電子申告や電子帳簿への対応は一朝一夕に整うものではありません。
これからは、紙の申告から電子申告へ、手入力中心の記帳からデータ連携を活用した記帳へ、少しずつ移行していくことが大切です。
当事務所では、青色申告、電子申告、会計ソフトの導入、記帳方法の見直しについてご相談を承っています。「今のままで大丈夫か不安」「75万円控除を受けられる体制にしたい」という方は、お早めにご相談ください。
注記:
本記事は、令和8年度税制改正大綱等に基づく一般的な情報です。実際の適用にあたっては、今後の法令、通達、国税庁の案内等を確認する必要があります。
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