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【2026年10月スタート】インボイスの控除率が「80%→70%」に。 免税事業者と取引する会社の消費税はこう変わる
【2026年10月スタート】インボイスの控除率が「80%→70%」に。免税事業者と取引する会社の消費税はこう変わる
■ この記事のポイント(30秒サマリー)
・免税事業者からの仕入れに使える「経過措置」の控除割合が、2026年(令和8年)10月1日から80%→70%に引き下げられます。
・当初は「10月から一律50%」の予定でしたが、令和8年度税制改正で70%→50%→30%と段階的に緩和されました。とはいえ「下がる」事実は変わりません。
・影響を受けるのは、本則課税で、免税事業者(未登録先)と取引がある個人・法人。年間の未登録先支払いが多い会社ほど、納税額がじわじわ増えます。
・対策のカギは「取引先の棚卸し」と「月次決算」。今のうちに未登録先を洗い出すことが、会社にキャッシュを残す近道です。
はじめに|「うちは関係ない」と思っている経営者ほど要注意
「インボイスの登録はもう済ませたし、うちは大丈夫」——そう考えている経営者の方こそ、いま確認していただきたいことがあります。
問題は自社の登録ではなく、支払う相手(外注先・仕入先)が登録しているかどうかです。登録していない免税事業者への支払いは、これまで支払った消費税の80%を控除できていました。ところが、2026年(令和8年)10月1日から、この控除割合が70%に下がります。
つまり、控除できずに自社が負担する消費税が、20%分から30%分へと増えるということです。免税事業者との取引が多い会社ほど、気づかないうちに納税額が膨らんでいきます。
本記事では、名古屋の黒字経営専門税理士が、この「70%への引き下げ」が会社のキャッシュに与える影響と、いま打つべき対策をわかりやすく解説します。
1. そもそも「経過措置」とは?
インボイス制度では、原則として登録していない免税事業者からの仕入れは、仕入税額控除ができません。支払った消費税を売上の消費税から差し引けない、ということです。
とはいえ、制度開始と同時にいきなり全額控除できなくなると、免税事業者と取引の多い会社は負担が急増してしまいます。そこで、激変を和らげるために設けられたのが「経過措置」です。
経過措置の期間中は、免税事業者への支払いであっても、支払った消費税の一定割合を控除できます。この「一定割合」が、いよいよ2026年10月から下がるのです。
2. 【最新】控除割合のスケジュール(令和8年度税制改正版)
当初の予定では、2026年10月から控除割合は「一律50%」に下がるはずでした。しかし令和8年度税制改正により、負担を緩和する形で段階的な引き下げに見直されました。
● 〜令和8年(2026年)9月30日 ……………… 80%(今ここ)
● 令和8年(2026年)10月1日〜令和10年(2028年)9月30日 …… 70%
● 令和10年(2028年)10月1日〜令和12年(2030年)9月30日 …… 50%
● 令和12年(2030年)10月1日〜令和13年(2031年)9月30日 …… 30%
● 令和13年(2031年)10月1日〜 ……………… 廃止(控除なし)
「50%が70%に緩和された」と聞くと得したように感じますが、見方を変えれば引き下げが長期化・多段階化したということでもあります。最終的に令和13年(2031年)10月には経過措置そのものが廃止され、未登録先からの仕入れは一切控除できなくなります。「取引先が登録しているかどうか」の重みは、今後さらに増していくのです。
3. 誰が影響を受けるのか?(個人・法人は同じ?)
結論から言うと、この控除割合の引き下げは個人事業主でも法人でも同じです。事業形態によって割合が変わることはありません。
ただし、影響を受けるかどうかは「どの計算方法で消費税を申告しているか」で決まります。
◎ 影響を受ける
本則課税(一般課税)で申告していて、免税事業者(未登録先)との取引がある個人・法人
◎ 影響を受けない
簡易課税を選択している事業者、2割特例を使っている事業者
簡易課税や2割特例は、実際の仕入税額を使わずに納税額を計算するため、この控除割合の変更とは無関係です。「本則課税」で、外注先や仕入先に免税事業者が混ざっている会社が、今回の主役だと考えてください。
《補足》同じ令和8年度税制改正では、売り手側の「2割特例」が終了し、個人事業者に限って「3割特例」が新設される予定です。こちらは個人と法人で扱いが異なりますが、本記事のテーマである「70%(買い手側の控除割合)」は個人・法人で共通です。
4. 【シミュレーション】70%になると、いくら負担が増える?
数字で見ると、インパクトがはっきりします。
例:外注先(免税事業者)に、年間で税込1,100万円(消費税100万円分)を支払っているケース
● 〜2026年9月(80%控除):控除できる額 80万円 / 自社負担 20万円
● 2026年10月〜(70%控除):控除できる額 70万円 / 自社負担 30万円
● (参考)2028年10月〜(50%控除):控除できる額 50万円 / 自社負担 50万円
同じ取引をしているだけなのに、2026年10月を境に、年間で10万円も負担が増える計算です。しかも割合は今後さらに下がっていきます。
一方で、もしこの外注先がインボイス登録すれば、支払った消費税100万円を満額控除できます。未登録のままか、登録してもらえるか——この差が、そのまま会社に残るお金の差になります。
5. いつの取引が「70%」になる?(9月末をまたぐ取引の注意点)
控除割合は、支払日ではなく「課税仕入れを行った日」で判定します。
- 役務の提供(外注費など):原則「役務の全部を完了した日」
- 商品の仕入れ:原則「商品の引渡しがあった日」
たとえば9月下旬に着手し、10月上旬に完了した外注は、完了日が10月なら全額が70%控除になります。9月末をまたぐ取引は、80%か70%かの判定を誤りやすいので、10月をまたぐ月次処理では特に注意が必要です。
6. いま経営者がやるべきこと|チェックリスト
□ 仕入先・外注先の一覧を作り、それぞれが「登録済み」か「未登録(免税事業者)」かを整理している
□ 支払額の大きい未登録先から順に、登録の予定があるか確認している
□ 未登録のままの取引先について、登録依頼・価格交渉・取引継続をどうするか方針を決めている
□ 使っている会計ソフトが、2026年10月からの「70%控除」に自動で切り替わるかを確認している(手動設定が必要な場合あり)
□ 経過措置を使う取引は、帳簿に「経過措置対象である旨」を記載している
□ これらを年1回ではなく、毎月の月次決算でチェックする仕組みがある
《補足》令和8年10月1日以後に開始する課税期間からは、未登録の特定の1社(1人)からの年間仕入額が1億円を超える部分は経過措置の対象外になります。多くの中小企業では直ちに影響しませんが、大口の外注先・仕入先がある場合は要確認です。
7. 「70%対策」は、月次決算があってこそ回る
控除割合の引き下げは、放っておいて損をするだけの話ではありません。取引先の状況を毎月把握し、先手を打てる会社にとってはチャンスです。
たとえば——
- 未登録先に早めに登録を依頼できれば、満額控除に戻せる
- 登録が難しい相手なら、価格交渉や取引条件の見直しで負担を調整できる
- 9月末をまたぐ取引を正しく処理し、申告後の修正やミスを防げる
こうした判断を「決算のとき」にまとめてやろうとすると、すでに手遅れになりがちです。黒字経営を続ける会社が月次決算を徹底しているのは、消費税の負担増のような変化を、毎月その場で数字にして、資金繰りや経営計画に織り込んでいるからです。
数字を「過去の記録」ではなく「未来の判断材料」として使う。それが、どんぶり勘定から抜け出し、確実に会社にお金を残す経営の第一歩です。
8. よくある質問(FAQ)
Q1. この70%への引き下げは、個人事業主でも法人でも同じですか?
A. 同じです。買い手側の控除割合なので、事業形態で差はありません。ただし影響を受けるのは本則課税の事業者で、簡易課税や2割特例を使っている場合は関係ありません。
Q2. うちは免税事業者と取引していません。関係ありますか?
A. 直接の影響はありません。今回の話は「登録していない相手に支払う消費税」の控除割合の問題です。ただし新規の外注先などに免税事業者が混ざる可能性はあるので、確認の習慣は持っておくと安心です。
Q3. 取引先が登録済みかどうか、どうやって確認できますか?
A. 請求書の登録番号を、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で照合できます。番号の記載がない、または照合できない場合は、取引先に確認しましょう。
Q4. 9月末をまたぐ取引は80%と70%のどちらですか?
A. 「課税仕入れを行った日」で判定します。外注費なら「役務が完了した日」、商品仕入れなら「引渡しの日」です。支払日ではない点に注意してください。
Q5. 会計ソフトを使っていれば自動で切り替わりますか?
A. ソフトによります。自動対応のものもあれば、税区分や取引先マスタの手動設定が必要なものもあります。ベンダーに「70%控除への切り替えは自動か手動か」を早めに確認しておくと安心です。
9. まとめ
2026年10月からの「80%→70%」への引き下げは、免税事業者と取引のある会社にとって、確実に効いてくる負担増です。しかも控除割合は今後も下がり続け、2031年10月には経過措置そのものが廃止されます。
だからこそ、「どの取引先が登録済みで、どこが未登録か」を毎月把握できる体制が、これからの黒字経営には欠かせません。まずは自社の取引先を棚卸しし、数字で影響を確認するところから始めてみませんか。
森本経営会計事務所からのご案内
税理士 森本 雄一
森本経営会計事務所では、名古屋市天白区をはじめ愛知県内の中小企業・個人事業主の皆様に向けて、黒字経営を実現するための手厚いサポートを行っています。
単に申告書を作成するだけの税理士ではなく、毎月の月次決算を通じて会社の「強み」と「課題」を見える化し、キャッシュを最大化するための経営計画づくりや、本質的な節税対策をアドバイスいたします。
2026年10月の控除率引き下げ(80%→70%)を前に、「取引先の登録状況を一度きちんと棚卸ししたい」「自社への影響がどれくらいか知りたい」という方は、今が絶好のタイミングです。インボイス制度でお悩みの経営者の皆様を、全力でバックアップいたします。ぜひ一度お気軽にご相談ください。
📖 根拠・参考資料
法令:消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)
経過措置の根拠:平成28年改正法附則第52条・第53条(免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置)、および令和8年度税制改正大綱による控除割合の見直し(80%→70%→50%→30%、令和13年9月30日まで)
判定時期の根拠(消費税法基本通達):9-1-1(棚卸資産の譲渡の時期)、9-1-5(請負による資産の譲渡等の時期)ほか
国税庁資料:「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」、令和8年度税制改正特集、80%控除終了前後の判断基準に関するQ&A
《ご注意》本記事の控除割合の経過措置は、令和8年度税制改正大綱に基づく内容です。実際の適用にあたっては、個別の契約内容や最新の国税庁公表資料により判断が必要です。詳細は最新の公式情報をご確認いただくか、当事務所までご相談ください。
中古資産の耐用年数はどちらを選ぶ?「新品と同じ年数」で決算書に利益を残し、銀行融資に強い会社をつくる方法
1.節税・財務戦略3.経理)インボイス・日々の経理実務の罠6.事務所だより・経営コラム
1.節税・財務戦略3.経理)インボイス・日々の経理実務の罠6.事務所だより・経営コラム
中古資産の 耐用年数は どちらを選ぶ?「新品と同じ年数」で決算書に利益を残し、銀行融資に強い会社をつくる方法
中小企業が営業車や機械装置などの設備を導入する際、コストを抑えられる中古資産を選ぶケースは少なくありません。そして「中古資産は短い期間で一気に減価償却費(経費)にできるので、節税になり資金繰りが楽になる」という話もよく耳にします。
確かに、利益が出すぎている会社にとっては、早めに経費化して税金を抑えることは手元に資金を残す一つの方法です。しかし、実は「あえて新品と同じ法定耐用年数を使い、長期間かけてじっくり償却する」という選択肢も、法的に認められていることはあまり知られていません。
ここで押さえておきたいのは、税金を減らすことと、本当の意味での資金繰り対策とは、必ずしもイコールではないという点です。目先の節税だけを意識して減価償却費を増やしすぎると、決算書上の利益が圧迫され、銀行からの評価が下がり、必要なときに融資を受けにくくなることもあります。
この記事では、資金繰り対策と銀行融資の関係を整理しながら、中古資産の耐用年数をどう選ぶべきか、黒字経営を支える会計実務の考え方をわかりやすく解説します。
1. 資金繰り対策の本質は「節税」より「銀行融資に強い決算書」
まずお伝えしたいのは、資金繰り対策とは手元の税金を減らすことだけではない、ということです。本当の資金繰り対策とは、会社が自由に使えるキャッシュを確保しつつ、必要なときに資金を調達できる体制を整えておくことだと考えられます。
中小企業が事業を拡大したり、予期せぬ変化を乗り越えたりする際、頼りになる選択肢の一つが銀行からの融資です。そして銀行が融資を判断する際に重視するポイントの一つが、決算書の内容、特に本業でどれだけ利益を出しているかという点です。
銀行は決算書を通じて返済能力があるかどうかを確認します。仮に、手元の税金を抑えたいという理由だけで中古資産を短い年数で一気に経費化し、決算書の利益が大きく圧縮されてしまった場合、金融機関からの評価に影響が出る可能性があります。
税金の負担は軽くなったとしても、その分融資を受けにくくなり、結果として資金繰りがかえって厳しくなるケースも考えられます。たとえば、目先の税金を数十万円抑えられたとしても、それによって数千万円規模の融資が受けにくくなるとすれば、会社全体で見た資金繰りは悪化しかねません。
つまり、あえて新品と同じ長い耐用年数を選び、毎年の減価償却費を抑えて決算書にしっかりと利益を残すという選択は、銀行からの信頼を得て、必要なときに資金を調達しやすくするための一つの財務戦略になり得ます。
2. 中古資産でも「新品と同じ耐用年数」は法的に選択できる
税法上、中古資産を取得した際の耐用年数の計算には、主に二つの方法が用意されています。
📋 中古資産を取得した際の耐用年数計算
- ① 簡便法による耐用年数:税法で定められた簡便な計算式を用いて、残りの使用可能期間を見積もり、短い耐用年数を算定する方法(一般的にはこちらが選ばれやすい)。
- ② 法定耐用年数(新品と同じ):その資産が本来持っている法定耐用年数を、そのまま適用する方法。
「中古資産なのに新品と同じ年数で計算して問題にならないか」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、法人税法施行令第57条では、中古資産についても法定耐用年数を適用することが認められています。
どちらの方法を選ぶかは、経営者が自社の財務状況や今後の見通しに合わせて判断できる事項です。ただし、資産の取得時期や事業供用の状況などによって適用できる条件が異なる場合もあるため、実際に適用する際は、自社のケースに当てはめて確認することが大切です。
3. 具体例で見る、耐用年数の違いによる「経費」と「残る利益」の差
耐用年数の選び方によって決算書の数字がどう変わるか、国税庁の減価償却資産の償却率表をもとに、一つの例で確認してみましょう。
🚘 【算出の前提条件】
・資産の種類:普通乗用車(法定耐用年数 6年)
・中古での経過年数:3年
・取得価額:300万円(定率法を採用、期首に取得)
| 比較項目 | パターンA:簡便法(短い年数) | パターンB:新品の法定耐用年数 |
|---|---|---|
| 適用する耐用年数 | 2年(最短) | 6年 |
| 定率法の償却率 | 1.000 | 0.333 |
| 1年目の減価償却費(経費) | 300万円 | 99万9,000円 |
| 2年目以降に繰り越す経費 | ほぼ0円 | 約200万円 |
この二つを比較すると、1年目の経費に約200万円の差が生まれます。今期の業績によってはパターンAを選ぶと赤字になってしまう局面でも、パターンBを選ぶことで決算書上の利益を200万円ほど多く残せる可能性があります。こうした利益の差は、銀行融資の審査結果にも影響しうる要素の一つと考えられます。
4. 実務上の注意点:一度選んだ方法は原則として変更できない
この考え方を実務で活用する際に、必ず押さえておきたい注意点があります。それは、一度新品と同じ耐用年数で償却を始めると、後から「やはり短い期間に変更したい」といった変更は、正当な理由がない限り原則として認められないという点です。
確定申告書を提出する段階でどちらの耐用年数を採用するかを決め、その計算で申告を行うと、その資産についてはそれ以降も同じ耐用年数で償却を続けることになります。これは「継続性の原則」と呼ばれる考え方に基づくものです。
⚠️ 安易な変更は不可能です
「今期さえ乗り切れればよい」という短期的な判断だけで決めるのは避けたいところです。来期以降の売上見通しや固定費、人件費の推移、将来の設備投資計画まで見据えたうえで、慎重に選択することが重要です。
5. まとめ:節税と利益管理は「月次決算」と「経営計画」で先手を打つ
中古資産の耐用年数をどう選ぶかは、単なる経理処理の問題ではありません。会社の利益、現預金、自己資本をどうコントロールし、銀行融資に強い会社をつくっていくかという経営判断そのものといえます。
利益が出すぎているときは短い年数で節税を選び、融資を受けたいときは長い年数で利益を残す。こうした判断を的確に行うためには、決算直前になって慌てて検討するのでは間に合わないケースも少なくありません。
📌 強い財務体制をつくるための2つの土台
自社の数字に関心を持ち、継続的に確認できる経営管理の体制を整えることが、資金繰りを安定させ、黒字経営を実現していくための土台になります。
森本経営会計事務所からのご案内
税理士 森本 雄一
減価償却の方法を検討し、銀行融資に評価される決算書をつくることは、会社に資金を残し、次の成長につなげるために欠かせないプロセスです。ただし、自社にとって中古資産としての耐用年数と新品と同じ耐用年数のどちらが有利かは、将来の業績見通しも含めて総合的に判断する必要があり、経営者様おひとりで決めるのは簡単ではありません。
森本経営会計事務所では、愛知県名古屋市天白区を中心に、多くの中小企業様の月次決算の体制づくりや経営計画の策定をサポートしています。税務申告書の作成にとどまらず、クラウド会計なども活用しながら、経営者様が自社の数字を見て次の一手を判断できる環境づくりをご一緒に進めています。その場しのぎの節税ではなく、銀行融資に評価される健全な黒字経営を目指したい、自社の数字をもっと見える化して資金繰りの不安を減らしたいとお考えの経営者様は、一度当事務所までご相談ください。
📖 参考資料
法人税法第31条、法人税法施行令第48条の2、法人税法施行令第57条(中古資産の耐用年数)、国税庁タックスアンサーNo.5404「中古資産を購入した場合の耐用年数」、国税庁「減価償却資産の償却率表(定率法)」
※本記事の内容は2026年7月時点の税制に基づいています。減価償却方法および耐用年数は、正当な理由がない限り事業年度の途中で任意に変更することはできません。個々の資産の取得時期や適用条件によって取り扱いが異なる場合がありますので、実際の適用に際しては最新の法令・国税庁の公式情報をご確認いただくか、当事務所までお問い合わせください。
銀行融資に評価される健全な黒字経営を目指したい、資金繰りの不安を減らしたいとお考えの経営者様は、一度当事務所までご相談ください。
自社が調査対象になりやすい特徴に当てはまっていないか不安な方、
事前に対策を講じたい経営者様は、当事務所へお気軽にご相談ください。
中小企業の車両リース契約|経費処理できる?会計・税務の判断基準と仕訳の方法
中小企業の車両リース契約 ― 用語解説・会計・税務の判断基準・仕訳の方法
中小企業が社用車をリースする際、「リース資産として帳簿に計上すべきか、それとも単純にリース料を費用として処理してよいのか」は、契約内容によって結論が変わります。本記事では、判断に必要な専門用語をひとつずつ解説しながら、会計上・税務上の取扱い、視覚的に分かりやすい実際の仕訳の方法まで、順を追って整理します。
1. リース取引とは何か
リース取引とは、リース会社(レッサー)が車や機械などの物件を購入し、それを利用者(レッシー、借り手)に貸し出して、利用者が毎月(または毎年)「リース料」を支払う契約のことです。普通の賃貸借(アパートを借りるイメージ)と違うのは、契約期間や支払い方法によっては「実質的に物を買ったのと同じ」とみなされる場合がある、という点です。
2. リース取引の分類:ファイナンス・リースとオペレーティング・リース
リース取引は、経済的な実態によって大きく「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2種類に分けられます。この分類が、会計上どう処理するかを決める出発点になります。
2-1. ノンキャンセラブル(解約不能)とは
契約期間中に、借り手が一方的に契約を解約できないという条件のことです。たとえば「5年契約で、途中で車を返したくても違約金なしでは解約できない」という場合がノンキャンセラブルです。逆に「1ヶ月前に連絡すればいつでも解約できる」契約はキャンセラブル(解約可能)です。
2-2. フルペイアウト(物件代金の全額回収)とは
リース料の合計額が、リース会社がその物件を買うのにかかった代金を、ほぼ全額回収できるように設定されているという条件です。実務上の目安としては、次の2つの数値基準のいずれかを満たすかどうかで判断します。
- 90%基準:リース料総額を現在価値(将来もらえるお金を、今の価値に置き換えた金額)に直したものが、物件の見積購入価額の概ね90%以上になるか。
- 75%基準:リース期間が、その物件を経済的に使える期間(経済的使用可能予測期間)の概ね75%以上になるか。
💡 例:300万円の車を5年間リースし、リース料の総額(現在価値換算)が285万円(95%)になる契約は、フルペイアウトに該当します。逆に、2年だけのリースで総額が120万円(40%)しかない契約は、フルペイアウトには該当しません。
※「ノンキャンセラブル」かつ「フルペイアウト」の両方を満たす契約が「ファイナンス・リース」、どちらか一方でも満たさない契約が「オペレーティング・リース」と判定されます。
2-3. 所有権移転/所有権移転外ファイナンスリースの違い
ファイナンス・リースに該当した場合、さらに「契約終了後に物件の所有権が借り手に移るかどうか」で2つに分かれます。
| 区分 | 特徴と取扱い |
|---|---|
| 所有権移転 | 契約終了後に自動的に所有権が借り手に移る、または格安で購入できる権利がある場合。実質は「分割購入」と同じなため、必ずリース資産として計上し、減価償却します。 |
| 所有権移転外 | 条件は満たすものの、終了後も所有権はリース会社に残る場合。経済的には購入と同じ効果ですが、法的な所有権は移りません。 |
2-4. オペレーティング・リースとは
条件を満たさない、単純な「物のレンタル」に近いリースです。アパートを借りるのと同じ感覚で、毎月の支払いをそのまま費用(賃借料など)として処理すればよく、資産として帳簿に計上する必要はありません。
3. 会計上の取扱い
3-1. 原則的な取扱い:ファイナンス・リースは、原則としてリース資産・リース債務として帳簿に計上(オンバランス)します。オペレーティング・リースは、賃貸借処理(支払時に費用化)で構いません。
🌟 3-2. 中小企業の会計に関する基本要領による簡便な取扱い
「中小企業の会計に関する基本要領」を採用している会社であれば、所有権移転外ファイナンスリースに該当する場合でも、金額的な重要性が乏しいときは、通常の賃貸借取引と同様の処理(支払時に費用化)をすることが認められています。多くの中小企業はこの簡便な扱いを利用しています。ただし所有権移転ファイナンスリース(実質購入)については、必ず資産計上が必要です。
4. 税務上の取扱い
4-1. 原則(リース取引は売買とみなす):法人税法上は、ファイナンス・リース取引を「売買」とみなします。つまり会計上の処理とは関係なく、税務上はリース資産・リース債務として計上し、減価償却していく処理が原則として求められます。
4-2. 少額リース資産の特例:ただし、リース期間が1年以内、または契約金額の合計が300万円以下である場合は、税務上も賃貸借処理(支払時に費用化)が認められる特例があります。
5. 残価設定リース(車のリース)特有の論点
車のリースでよく見られる「残価設定」とは、契約終了時に予想される車の残存価値をあらかじめ見積もり、その分をリース料の計算から差し引く方式です。これにより毎月の支払いが安くなります。
残価設定があると、リース料総額が車の代金の大半をカバーしない(フルペイアウトにならない)ケースが出てくるため、オペレーティング・リースに区分されやすくなる一因になります。ただし、契約終了時の買取価格が市場価格より明らかに割安であれば、所有権移転ファイナンスリースとみなされる可能性が高くなるので注意が必要です。
6. 具体的な仕訳の方法
📝 例:300万円の車を5年間、年60万円(合計300万円)でリースする場合
6-1. 賃貸借処理の仕訳(オペレーティング・リース、または中小企業の簡便処理)
※契約開始時には仕訳をしません。リース料を支払うたびに費用処理します。
(借方)賃借料(リース料) 600,000円 / (貸方)現金預金 600,000円
6-2. オンバランス処理・利子抜き法(原則的な方法)
(借方)リース資産 3,000,000円 / (貸方)リース債務 3,000,000円
【リース料支払時(元本と利息に分解)】
(借方)リース債務 540,000円 / (貸方)現金預金 600,000円
(借方)支払利息 60,000円 /
【決算時(減価償却)】
(借方)減価償却費 600,000円 / (貸方)リース資産(または累計額) 600,000円
6-3. オンバランス処理・利子込み法(簡便法)
中小企業でよく使われる、利息を分けない簡便な方法です。
(借方)リース資産 3,000,000円 / (貸方)リース債務 3,000,000円
【リース料支払時】
(借方)リース債務 600,000円 / (貸方)現金預金 600,000円
【決算時(減価償却)】
(借方)減価償却費 600,000円 / (貸方)リース資産 600,000円
7. まとめ:契約内容ごとの判断フロー
8. 具体例:6年償却の車を3年リースし、残価設定する場合の判定
300万円の車を、経済的使用可能期間6年と考え、リース期間を3年、3年後の残価を1,500,000円(購入価額の50%)に設定したとします。
・90%基準:リース会社が回収する額は300万−150万=約150万円(50%程度のため90%未満)
このように、妥当な残価設定を行うと数値基準をクリアしないため、車のリースはオペレーティング・リース(計上不要・賃貸借処理でよい)と判断されるケースが多くなります。これが実務上の理由です。
ただし、実際の数字や買取条件(格安で買い取れる権利など)によってはファイナンス・リースとみなされることもあるため、契約書の確認が不可欠です。
※本記事の内容は一般的な解説です。個別の契約における最終的な判断やご不明な点については、当事務所までお気軽にご相談ください。
銀行融資に評価される健全な黒字経営を目指したい、資金繰りの不安を減らしたいとお考えの経営者様は、一度当事務所までご相談ください。
自社が調査対象になりやすい特徴に当てはまっていないか不安な方、
事前に対策を講じたい経営者様は、当事務所へお気軽にご相談ください。
経営力向上計画とは?
■ 経営力向上計画とは? ━━━━━・・・・・‥‥‥.........
中小企業・小規模事業者等は、
人材育成や設備投資等、事業者の経営力を向上させるための
取組内容などを記載した事業計画(「経営力向上計画」)を作成し、
計画の認定を受けることができます。
認定を受けた事業者は、
機械及び装置の固定資産税の軽減や低利融資等の特例措置を受けることができます。
■ 認定事業者の内訳 ━━━━━・・・・・‥‥‥.........
すでに全国で482社が認定を受けており、その業種内訳は以下の通りです。
①製造業:329社
②医療業:78社
③情報通信業:21社
④卸・小売業:20社
⑤専門サービス業:16社
⑥その他業種:18社
設備投資の機会が多い製造業に
申請件数が偏っているようです。
■ 認定を受けるメリットは? ━━━━━・・・・・‥‥‥.........
経営力向上計画の認定を受けることにより、
以下のようなメリットがございます。
① 計画に基づく設備投資は固定資産税が1/2に軽減(最大3年間)
利用できる方:資本金1億円以下の会社、個人事業主など
対象設備:160万円以上の機械及び装置(新品)であること
要件:生産性が年平均1%以上向上する設備など
② 低利融資や信用保証枠の拡大など各種金融支援
中小企業向け:信用保証協会による信用保証枠の拡大 など
中堅企業向け:中小機構の債務保証 など
③ 認定事業者は補助金申請時に加点
一部の補助金(H27年度補正予算ものづくり補助金2次公募など)において、
認定事業者は審査時に加点されることがあります。
※ものづくり補助金は次回公募でも加点対象となる可能性がございます。
経営力向上計画に関するご相談、申請支援のご依頼は、
当事務所までお気軽にお問い合わせください。
即時償却とは?
即時償却とは?
一定の設備を購入した際、通常の会計処理では設備の耐用年数に応じて毎年一定額を利益からマイナスする「減価償却」を適用します。
一方、特定の条件を満たした際に適用できる即時償却では、設備を購入したその年の決算で購入費用の全額を費用として計上することができます。
■ 中小企業経営強化税制について
2017年4月よりスタートした「中小企業経営強化税制」を活用して購入した設備は、即時償却を適用することができます。
■ 即時償却のメリット
設備導入した年に一括償却できることで、「その年の税金が安くなる」ことが即時償却の最大のメリットです。
設備導入した年に大きな利益が発生すると、多額の税金を支払うことになり、キャッシュフローが厳しくなることがあります。
そういった場合に「即時償却」の制度を活用すれば“その年”に支払う税金が低く抑えられるため、資金に余裕を生み出すことができるのです。
■ ご注意点
「即時償却 ≠ 税金の軽減」
上述の通り、目先の資金に余裕を持たせることが即時償却のメリットですが、翌年以降は償却費がなくなるため、最終的な納税額は同じになります。
節税効果を得るための制度ではありませんのでご注意ください。
税金の計算等に関するご質問・ご相談は当事務所までお気軽にお問合せください!!
森本経営会計事務所(経営革新等支援機関認定)では、個人・法人のお客様の税務に関する一時間の無料面談サービス実施中です。
「税理士に顧問を検討しているが、依頼内容や年間費用の見積もりが欲しい」というご希望にもお答えします。
「とりあえず即時償却」で損をしていませんか?少額減価償却資産特例(40万円未満)の賢い使い方


1. 2026年税制改正で何が変わった?
2026年度の税制改正で、中小事業者向けの少額減価償却資産の特例(租税特別措置法)の上限額が、従来の30万円から40万円に引き上げられました。
最新のパソコンや業務用ソフトウェア、タブレット端末が即時償却の対象に入り、「購入した年に全額を経費にできる」範囲が広がったことは、中小企業・個人事業主にとって大きな節税チャンスです。
2. 少額減価償却資産の特例(40万円未満)の基本
中小事業者が取得価額40万円未満の減価償却資産を購入した場合、通常の耐用年数にわたる減価償却を行わず、取得した事業年度に全額を損金(経費)として計上できます。
年間の合計取得価額が300万円以内であれば何点でも適用可能です。
3. 見落とされがちな「償却資産税」の落とし穴
この特例を活用する際に必ず確認していただきたいのが、地方税である固定資産税(償却資産税)との関係です。
- 40万円未満特例:法人税・所得税は即時償却されるが、償却資産税は課税対象として申告が必要。
- 一括償却資産(20万円未満):3年均等償却となるが、償却資産税は非課税。
複数拠点に多数の機材を導入している場合、この税負担の差は無視できません。節税メリットと税コストを比較したうえで判断することが重要です。
4. 即時償却が「かえって損」になるケース
少額減価償却資産の特例はあくまで「できる規定」であり、任意で選択できます。
- 当期が赤字の場合:節税効果がないため、翌期の利益圧縮のために温存する方が合理的です。
- 資金調達を控えている場合:即時償却で利益を過度に圧縮すると、決算書の財務内容が悪化して見えるリスクがあります。
5. 3つの少額資産制度の比較
| 取得価額 | 処理方法 | 償却資産税 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 消耗品費等で即時償却 | 非課税 |
| 20万円未満 | 一括償却資産(3年均等) | 非課税 |
| 40万円未満 | 少額特例(年300万迄) | 課税 |
当期の利益状況や将来の損益予測、償却資産税の影響を総合的に判断することが節税の要諦です。
銀行融資に評価される健全な黒字経営を目指したい、資金繰りの不安を減らしたいとお考えの経営者様は、一度当事務所までご相談ください。
自社が調査対象になりやすい特徴に当てはまっていないか不安な方、
事前に対策を講じたい経営者様は、当事務所へお気軽にご相談ください。
【2026年版】設備投資を検討したらまずは税制の確認を! 中小企業経営強化税制


機械やシステムなどの「設備投資」を検討し始めたら、まずは税制の確認を!
要件を満たせば、投資額の全額を経費にできる(即時償却)など、会社に非常に大きな節税効果をもたらす強力な制度があります。
今回は、設備投資の代表的な節税策である「中小企業経営強化税制」について、2〜3分で読めるポイントに絞ってわかりやすく解説します。
1. 中小企業経営強化税制の「2つの強力なメリット」
青色申告書を提出する中小企業者等が、認定を受けた「経営力向上計画」に基づき一定の設備を新規取得して指定事業に供した場合、以下のどちらか有利な方を選択して適用することができます。
- 【メリット1】即時償却
取得価額の全額(100%)をその事業年度の経費として一括で計上し、大きな利益圧縮効果を得ることができます。 - 【メリット2】税額控除
取得価額の10%(※資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)を、支払うべき法人税等から直接マイナスすることができます。
💡 制度の適用期限:本制度は近年の税制改正により、令和10年(2028年)3月31日まで適用期限が延長されています。
2. 適用を受けるための「3つの絶対条件」
この強力なメリットを享受するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 事前に「経営力向上計画」の認定を受けること
※原則として、設備を取得する「前」に計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。後出しは認められないためスケジュール管理が重要です。
- 対象となる「中小企業者」であること
- 資本金額または出資金額が1億円以下の法人
- 資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人 など
- 指定された「事業内容・設備要件」であること
※幅広い業種が対象ですが、一部対象外(電気業、娯楽業など)があります。また、最新の改正により工具・器具備品の取得価額要件が「40万円以上」に引き上げられるなど、細かな判定が必要です。
要件の判定や計画策定のスケジュール管理には専門的な判断が伴います。設備投資の計画が持ち上がった段階で、なるべく早めに専門家へ相談することが失敗を防ぐ最大のポイントです。
御社の状況を踏まえ、税理士の視点から最も有利な税務戦略をご提案いたします。
本気の節税・経営基盤強化を目指す経営者様からのご相談をお待ちしております。
Q:初回の無料面談は、どのような人が対象になりますか?
A:当事務所へのご依頼や顧問契約を真剣に検討されている方限定のご案内となります。具体的な契約内容や、本税制等サポートの適用可否についてご相談を承ります。
※一般的な税務情報の提供や、情報収集のみを目的とした無料相談は行っておりませんのでご遠慮ください。
中古資産の耐用年数と簡便法算定での注意点
会社が中古資産を購入するケースは少なくありません。
この場合の中古資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、原則、あと何年使用することができるかを合理的に見積り、見積った年数を耐用年数として、減価償却の計算を行うことになります。
ただし、使用可能期間を見積ることに困難を伴う場合には、簡便法という方法により計算することもできます。簡便法の計算方法は下記のようになり、算定した耐用年数に1年未満の端数が生じたときは切り捨て、算定した年数が2年未満のときは、耐用年数を2年とします。
「簡便法」による計算
(1)法定耐用年数の全部を経過した資産は
「法定耐用年数×20%」
(2)法定耐用年数の一部を経過した資産は、「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」
ただし、取得した中古資産を事業の用に供するために改良を行った場合など資本的支出を行った場合は注意が必要です。その資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の50%を超えるときは、簡便法によることができず、法定耐用年数を適用することになります。
詳しくは森本経営会計事務所にご相談ください。
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