配偶者の扶養はいくらまで?「税金の壁」と「社会保険の壁」の違いを税理士がわかりやすく解説
配偶者の扶養はいくらまで?税金の壁と社会保険の壁をわかりやすく解説
税理士 森本 雄一
配偶者がパートやアルバイトで働いているご家庭では、「いくらまでなら扶養に入れるのか」「収入が増えると税金や社会保険はどう変わるのか」というご相談をよくいただきます。
「扶養」と一言でいっても、税金の扶養と社会保険の扶養は別々の制度です。金額の基準が異なるため、まずはこの2つを切り分けて理解することが大切です。
1. 「収入」と「所得」の違いをおさえておましょう
扶養の話をする前に、確認しておきたいことがあります。それは「収入」と「所得」の違いです。
💰 給与収入(額面)
会社から受け取る総支給額、つまり源泉徴収票の「支払金額」にあたります。
📉 給与所得
給与収入から「給与所得控除(会社員の経費のようなもの)」を差し引いた後の金額です。
扶養の判定では主に「収入」の金額を使いますが、制度によって見方が異なる場合もあります。収入と所得を混同しないよう注意が必要です。
2. 税金の扶養は配偶者控除と配偶者特別控除で考えます
所得税の計算では、配偶者の年収に応じて「配偶者控除」または「配偶者特別控除」を受けられる場合があります。控除が大きいほど、世帯の税負担は軽くなります。
給与収入だけの場合、所得税の控除基準は次のように整理できます。
| 配偶者の給与収入 | 適用される控除 |
|---|---|
| 136万円以下 | 配偶者控除の対象(満額の控除) |
| 136万円超 〜 207万円以下 | 配偶者特別控除(段階的に控除額が減少) |
| 207万円超 | 控除対象外(どちらも受けられません) |
ここで大切なのは、136万円を少し超えたからといって、すぐに控除がゼロになるわけではないということです。207万円まで控除が段階的に残る仕組みになっているため、「少しだけ超えたら大損」とは限りません。
※なお、控除を受ける側(配偶者を扶養している方)の年収が1,000万円を超える場合は、配偶者控除・配偶者特別控除ともに適用されません。
3. 社会保険の扶養は原則130万円未満です
税金とは別に、健康保険や年金にも扶養の仕組みがあります。社会保険の扶養では、原則として年間収入130万円未満(月収換算で108,333円以下)が一つの基準です。(※60歳以上または一定の障害のある方の場合は年間収入180万円未満)
⚠️ 税金と社会保険の「扶養のズレ」に注意
たとえば年収132万円の場合、税金上は配偶者控除の対象になりますが、社会保険の扶養からは外れる可能性が高くなります。また、社会保険は1月〜12月の実績ではなく、「これから先1年間の収入見込み」で判断される点も大きな違いです。
さらに、年収が130万円未満であっても、配偶者ご本人の勤務時間や勤務先の規模などによっては、職場の社会保険に自ら加入しなければならないケースがあります(いわゆる106万円の壁)。その場合も扶養から外れることになります。
4. 手取り額全体で考えることが大切です
「年収の壁を超えると損をする」とよく言われますが、税金だけを見て判断するのは十分ではありません。社会保険の扶養から外れると、健康保険料や年金保険料の自己負担が新たに発生するため、手取り額への影響が大きくなる場合があります。
手取りが一時的に減る一方で、将来受け取れる「厚生年金」が増える、病気休業時の傷病手当金が手厚くなるなどの大きなメリットもあります。
「税金がいくら増えるか」だけでなく、社会保険料の負担、将来の年金、希望する働き方なども含めて、世帯全体で総合的に判断することが重要です。
5. まとめ
- 配偶者の扶養を考えるときは、「税金」と「社会保険」を分けて整理する。
- 税金の目安:給与収入だけの場合、配偶者控除は136万円以下、配偶者特別控除は136万円超〜207万円以下。
- 社会保険の目安:原則130万円未満だが、勤務先の規模等によっては106万円で外れることもある。
- 年末調整や確定申告の時期になって慌てないよう、年の途中から収入の見込みを確認しておきましょう。
※本記事は2026年6月時点の法令、制度に基づき作成しています。税制や社会保険制度は随時改正されることがあるため、実際の判断にあたっては最新情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスを提供するものではありません。









