これからの経営は「何でもできます」より「何で選ばれるか」が大事になる
これからの経営は「何でもできます」より「何で選ばれるか」が大事になる
中小企業の経営者様とお話ししていると、「売上を上げるために、お客様から頼まれたことは何でも引き受けている」というお声をよく耳にします。たしかに、創業期やとにかく仕事が欲しい時期においては、間口を広げることは一つの生存戦略です。
しかし、ある程度事業が軌道に乗ってきた段階でも「何でも屋」を続けてしまうと、次第に利益率が低下し、社員が疲弊していくケースが少なくありません。変化が激しく、人手不足が深刻化するこれからの時代において、中小企業が生き残るためのキーワードは一つです。
それは、「何でもできます」という看板を下ろし、「自社が何で選ばれるか(=独自の強み)」を明確にすることです。この記事では、脱・何でも屋を図り、利益体質の会社をつくるための考え方を解説します。
1. 「何でもやります」が引き起こす3つの経営リスク
「何でもできます」というアピールは、一見するとお客様にとって便利で魅力的に思えますが、経営視点で見ると以下のような深刻なリスクをはらんでいます。
- ① 価格競争に巻き込まれる:専門性がないため、他社と比較された際に「安さ」でしか勝負できなくなります。
- ② 現場(社員)が疲弊する:毎回異なるパターンの業務が発生するため、仕組み化やマニュアル化ができず、属人的な業務が増えて労働環境が悪化します。
- ③ 会社の印象が残らない:「何でもできる」は「何が得意かわからない」と同義です。結果として、お客様からの紹介やリピートが生まれにくくなります。
売上は立っているのに手元にお金が残らない、社員の定着率が悪いといった悩みの根源は、実はこの「何でも引き受けてしまう経営スタンス」にあることが多いのです。
2. 「何で選ばれるか」を明確にする(=ポジショニング)
一方で、利益をしっかりと出し、社員が活き活きと働いている会社は、「自社がどの領域で勝負するのか」を明確に絞り込んでいます。これが経営におけるポジショニング(立ち位置の明確化)です。
たとえば、飲食店で考えてみてください。「和洋中なんでもあります」というファミリーレストランと、「自家製麺と地鶏スープにこだわった塩ラーメン専門店」があった場合、本当に美味しい塩ラーメンを食べたい人は、多少高くても後者を選びます。
ターゲットと専門性を絞り込むことで、「それを求めているお客様」に対して圧倒的な価値を提供でき、結果として「価格決定権を自社で持てる(=値上げができる)」という最大のメリットが生まれます。
3. 財務データから自社の「強み」を見つけ出す
「絞り込みが大事なのはわかるが、自社の強みがわからない」という経営者様もいらっしゃるかもしれません。その際、感覚や思い込みではなく、決算書や月次の数字(財務データ)から強みを見つけ出すアプローチが非常に有効です。
📌 数字から強みを分析する3つの視点
売上構成比と粗利益率を掛け合わせて分析すると、「実はこのニッチなサービスが一番会社の利益に貢献していた」という隠れた強みが数字として浮き彫りになってきます。その「数字で裏付けられた強み」こそが、自社が選ばれる理由の原石です。
4. まとめ:「やらないこと」を決める勇気が会社を強くする
「何で選ばれるか」を明確にすることは、裏を返せば「自社がやらないこと(捨てること)」を決めるという経営の大きな決断です。最初は売上が減るのではないかという恐怖があるかもしれません。
しかし、自社の得意分野に経営資源(ヒト・モノ・カネ)を集中投下することで、サービスの質は向上し、利益率は改善し、結果的に財務体質の強い「選ばれる会社」へと進化していきます。









